母の日常　麻酔とは①鎮静（2023年1月29日）

こんにちは、脂肪吸引の母、こと、モッズクリニックの山田　有季です。

本日は母の日常を。

今回から麻酔について詳しい話をしたいと思います。

麻酔について少し前にSNSで話題になったので、詳しくお話した方が安心される方もおられるかと思いました。

麻酔科医歴12年の私が深～くお話しようと思うので、理解しづらかったら申し訳ありません。

まずは麻酔とはなんぞや…を。

麻酔といえば、全身麻酔を思い浮かべられる方が多いと思います。

ドラマで見る、手術室で手術を受けている方が、いろんな管につながれて…というやつです。

この全身麻酔、ただ単純に眠っているわけではないんです。

全身麻酔では、鎮静＝眠っている、鎮痛＝痛みがない、筋弛緩＝動かない

というこの要素がバランスよく取れている状態で成り立つものです。

では、まずこの鎮静から。

全身麻酔でも静脈麻酔でも、意識がなくなります。

この意識、とは一体…

実はこれ、よくわかっていないんです。

なんとなく、脳のこの部分が…というのはわかっていますが、

意識の本体、本質、というのはわかっていません。

ただ、私たちが使用している鎮静薬という種類の薬を使うと、意識がなくなる、ということはわかっているんです。

つまり、麻酔科医はこの薬を使うと意識がなくなるのがわかっているから、

この薬を使って麻酔をしている、ということになります。

ただ、意識はないけど、どれぐらい意識がないのか？というのはただ見るだけではわかりません。

声かけをしたり、肩をたたいてみたり、そういう刺激を加えた時に目が覚めるぐらいなのか、

はたまた手術のような強い刺激が加わったときにも目が覚めないぐらいの意識なのか。

それも私たちの経験測です。

大きい病院の手術室には、鎮静がどれぐらいかかっているかを数値化する機械を置いているところもあります。

BISやエントロピーというものですが、

おでこに電極のシールをはって、その電極から脳波を解析し、

鎮静を数値化するものです。

ただ、どんなふうに数値化されているかは、企業秘密、いわゆるブラックボックスです。

麻酔科医はその数値をみて、もうちょっと薬の濃度を上げようかな、とか、を考えているわけです。

ただどこの病院にもあるわけではないですので、だいたいこれぐらいだと意識はない、

という経験測がありますので、その患者様の年齢やら体重やらに合わせて投与量を決めています。

私たちが行っている静脈麻酔は、全身麻酔のときと同じ、点滴から使用する鎮静薬を使っています。

これもこれくらいで投与すれば意識がなくなる、というのがわかっているので、

それに合わせて投与をしています。

ただ、年齢や体格などによってはそれよりもたくさん必要な人、少なくていい人もいますので、

細かな調節が必要です。

意識がない方がいいんだから、とりあえず多めに入れればいいんじゃない？

と思われる方もおられるかと思いますが、不必要に多い量を入れると

呼吸が止まったり、血圧が下がったり、ということになります。

なので、一番いいぐらいの適量を投与することが大事です。

モッズクリニックでは適量ぐらいからスタートして、増やしたり、減らしたり、というのをしながら、

コントロールしています。

今回はここまで。

かなり長くなりました。

次回以降も続きます！

全身麻酔ってこんなイメージ！